Ayana 代表取締役CEO
神戸大学文学部を卒業後、楽天株式会社に入社。ECの基礎を学ぶ。その後、外資系メーカーに転職しメーカー側の課題に直面する。夜間MBAにて経営戦略を学ぶと同時に、FMCGよりもラグジュアリーブランドにおけるマーケティングに興味をもち、フランスESSECに留学。帰国後、外資系化粧品メーカーのECマネージャーやスタートアップCMO等を経て、MonCargoを創業。
Maersk (マースク)の正式名称はA.P. モラー・マースク(A. P. Møller - Mærsk A/S)といい、デンマークの首都コペンハーゲンに本拠を置く海運物流企業です。2022年にMSCにその首位の座を明け渡すまで、世界一位のコンテナ船社でした。
A.P. モラー・マースク(A. P. Møller - Mærsk A/S)は、2003年に”Dampskibsselskabet Svendborg’ と ’Dampskibsselskabet af 1912’ が統合されてできた社名です。
同社は、A.P.モラーとその父ピーター・マースク・モラーによってスベンボー(Svenborg)というデンマークのフュン島にある町で、1904年4月16日に設立されました。
ちなみにフュン島は、童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの出身地としても知られていますね!
さて、父ピーター・マースク・モラーは、帆船の船長として20年間の経験をした後、蒸気船の船長になることを目指し、50歳にして、工学を学び試験に合格しました。彼は自分の息子たちへの教育にも熱心で、ひとりは航海士、ふたりはエンジニアになりました。そして海運業を学んだ息子が、A.P.モラーでした。
父ピーター・マースク・モラーと息子A.P.モラーで立ち上げた蒸気船の会社がDampskibsselskabet Svendborgです。しかし、蒸気船事業を大きくしたいA.P.モラーに対して、当時の社内取締役会は事業拡大に消極的でした。A.P.モラーは自身で新たに別の蒸気船会社を立ち上げます。それがDampskibsselskabet af 1912です。
設立2年後の1914年、第一次世界大戦がはじまります。デンマークは第一次世界大戦中に中立を宣言していたため、第一次世界大戦中に多くの船舶を喪失したドイツ船社Hapag-Lloydとは異なり、デンマークの海運業にとっては追い風となりました。(Hapag-Lloydの歴史についてはこちら 。)
父と創業した会社から独立したわけですが、関係性はずっと続いていたようです。公式サイトに、A.P.モラーから父に宛てた手紙が残っています。
いつか造船所を設立して、私たちの会社の海運の経験を生かして船を作りたいというのが、私の昔からの考えです。現実的に、戦争で稼いだお金のほとんどがそのような事業で失われたとしても、何か良い結果があれば、それほど不幸なことだとは思いません。
A.P.モラー、父への手紙、1917年
引用元:MAERSK Official Site Consolidation — 1913-1940 (参照 2023-08-01)日本語訳:筆者
その手紙のとおり、A.P.モラーは、1918年には造船所をつくりました。その後も躍進はとまらず、1919年にはニューヨークで初の海外事業所を設立、1928年には定期船の運航を開始するなど、どんどん事業を拡大していきました。
その約10年後。1939年にドイツ軍がポーランドを侵攻し、第二次世界大戦がはじまり、大きな打撃を受けます。
1940年4月9日、ドイツ軍はデンマークを占領しました。当時46隻あったマースクの船は、終戦時には21隻にまでなったといいますが、戦後サービスを再開し、わずか3年で戦前のトン数にまで戻しました。
1965年 A.P.モラーは死去します。
世界で初めてのコンテナは1956年のことですが、標準コンテナの開発が進むのが1960年代後半です。A.P.モラーは今のような世界貿易をみるまでにこの世を去ってしまうわけですが、彼は、造船、タンカー輸送、石油事業などマースクのビジネスの土台を築き上げたのでした。
マースクがコンテナ事業に乗り出したのは1975年のこと。その後、さまざまな企業買収により世界最大のコンテナ船会社へと成長していきます。
マースクが世界最大のコンテナ船になるまで、様々な企業買収や統合が行われました。代表的なものをあげておきましょう。
2003年に現在の社名に変更し、コンテナ船社の買収やターミナルのインフラ整備にも力をいれ、世界最大級のコンテナ船の納入など、海運業界でその勢いを増していきました。
冒頭に記載した通り、2022年にMSCが首位になるわけですが、2020年からシェアを振替しましょう。
下記は2020年、及び 2021年の年末時点における、Maerskとその他船社の規模、アライアンスについてまとめられた図です。
この後、2022年1月6日時点のアルファライナーによるとMSCが首位になりました。2020年年末から2021年年末にかけて、Maerskのシェアが17%で維持されたのに対して、MSCのシェアが15.9%から16.9%にあがっています。
2023年 現在のランキングは、MSCが首位になっています。
2021年の両社の動きには違いがありました。MSCが中古船を積極的に購入したのに対して、Maerskは、2021年8月にはEC2社を買収し、その年末に香港の物流大手、LFロジスティクスの買収を発表しました。(2022年9月に買収完了) Maerskは、これによりAPAC地域におけるトラック輸送や倉庫保管も含めた総合的な物流強化、及び、EC産業とオムニチャネルへの対応が可能になります。
このMaerskの動きは、コンテナ船会社としてというよりも、「総合物流企業としての戦略」へ舵取りをしたためと考えられます。
Maerskは、2016年に戦略的決定として、輸送と物流会社に集中したグローバル総合物流企業になる方針を発表しました。
石油事業や原油の輸送を行っていたタンカーを売却し、掘削装置を所有する部門は別会社として分離するなど、経営に選択と集中が見られました。
また、2018年には、ブロックチェーン技術を活用してより効率的でシームレスな貿易を推進するためIBMとの合弁会社を設立し、海運デジタルプラットフォーム「トレードレンズ」を開始しました。2020年にはCMA CGM(仏)、MSC(スイス)も参加し、合計175社以上が参画。紙ベースだった海運業界のDXが加速していくと注目されていましたが、残念ながら2022年、商業利用可能な水準に達せなかったとして※、Maerskはトレードレンズを閉鎖することを発表しました。
トレードレンズは廃止してしまったものの、Maerskは、デジタル変革への挑戦を続け、他のソリューションにより国際貿易を促進していこうとしています。
今年2023年には、上述のハンブルク・シュドなど買収した他のブランドを全てマースクブランドに統合することを発表。Maerskは、総合物流企業としてのブランディング戦略にも力をいれているといえるでしょう。
Maersk(マースク)は、サイト内で、B/L番号(船荷証券番号)またはコンテナ番号から検索することが可能です。
Maerskのカーゴトラッキングはこちらから
各船会社のトラッキングは、各船会社のサイトでも確認いただけます。一つの船会社しか扱わない場合は、船社ページで確認するのがいいかもしれません。
ただ、一つの船会社だとしても、コンテナのETAスケジュールに変更がないかどうかを都度確認しにいくのは、時間がかかります。また、ETAのスケジュール変更について、他の関係部署の方に聞かれる場合もあります。複数の船会社を利用している場合はさらに管理が複雑です。
MonCargo(モンカルゴ)なら、スケジュールに変更があった場合にメール通知がくるので見逃しません。また同じコンテナを追跡している人が社内にいた場合は、チームでコンテナ情報をシェアすることが可能なので、メールやチャットのやり取りなど情報を共有する手間を省くことができます。
さらにMonCargo(モンカルゴ)のAPIを利用すれば、自社システムに、1つのAPIでつなぎこむことが可能になり、複数船社のAPIを1つずつ開発するよりも、開発工数の削減、効率化につながります。
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参考資料 (2023年8月1日閲覧):
Daily Cargo電子版 2022年12月1日
Maersk Annual Report 2003
Maersk Annual Report 2020 investor presentation
Maersk Annual Report 2021 investor presentation
Maersk Official Site|Our history
REUTERS 2021年12月22日記事
REUTERS 2021年8月6日記事
Svitzer Official Site
日本海事新聞 1999年12月15日 記事
日本海事新聞 2022年1月7日 記事