Ayana 代表取締役CEO
神戸大学文学部を卒業後、楽天株式会社に入社。ECの基礎を学ぶ。その後、外資系メーカーに転職しメーカー側の課題に直面する。夜間MBAにて経営戦略を学ぶと同時に、FMCGよりもラグジュアリーブランドにおけるマーケティングに興味をもち、フランスESSECに留学。帰国後、外資系化粧品メーカーのECマネージャーやスタートアップCMO等を経て、MonCargoを創業。
ONEは、オーシャン ネットワーク エクスプレス ジャパン株式会社 (Ocean Network Express(Japan)Ltd.)の略で、日本郵船、商船三井、川崎汽船の邦船海運大手3社がコンテナの定期船事業部門を統合し設立した、日本の海運業者です。現時点で、コンテナ船社運航規模ランキング※で世界7位となっています。(2023年10月時点は世界6位)
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日本のコンテナ船会社3社が統合して成立した、日本唯一の外航コンテナ定期船会社の、Ocean Network Express Pte. Ltd.(ONE)。2017年10月から準備をはじめ、2018年4月に世界各国同時に新たに事業を開始しました。
なぜこれまでライバルだった三社が手を組んだのでしょうか?公式サイトによると、リーマンショック以降、コンテナ定期船事業が世界的に競争が激化、約2万個のコンテナを積める超大型コンテナ船が投入され、規模の経済による競争力確保が必要だったと説明しています。この部分をさらに詳しく知るには3つの前提知識が必要になりますので、簡単に解説いたします。
海運の輸送方法は、大きく分けて定期船と不定期船があります。
この定期船の代表がコンテナ船です。一定の航路をスケジュールにあわせて運航する形式のため、路線バスに例えることができます。乗客が満員であればバス会社の収益があがるように、コンテナ船も積荷が多ければ多いほど収益があがります。コンテナ船事業で利益を出そうとすれば、この積載率を向上させる必要があり、コンテナ事業で黒字を出すのは各社とも難しい状況でした。
2000年代のコンテナ事情についてみていきましょう。下記は日本の経済産業省の資料ですが、中国が2001年のWTO加盟以降、輸出量を伸ばし、およそ15年で米国と並ぶ世界最大規模の貿易大国に成長しています。つまり、中国初のコンテナ貨物が急増していったといえます。
▼主要国の世界輸出に占める割合
下記は日本世界のコンテナ荷動き量を表した図ですが、やはり2000年代からずっと右肩上がりで伸びています。需要増加、世界的好景気により、船舶運賃の値上げや新造船の発注も増加しました。船の発注が殺到したその後、2008年にリーマンショックが起こります。下の図でも2008年から2009年にかけて下がっているのがみてわかりますが、これはリーマンショックによる世界同時不況が原因です。
▼世界のコンテナ荷動き量
この影響は、日本の各3社の決算報告にも表れています。2008年までは各社は売上を伸ばし、コンテナ船事業では苦戦しても不定期船事業の利益で吸収できていました。しかしリーマンショック以降、ただでさえ収益を上げるのが難しいコンテナ事業の大幅な赤字が続きます。下記、2009年3月期の各社の決算資料からの抜粋ですが、定期船事業(コンテナ事業)の赤字が目立ってることがわかります。2010年には3社ともさらに悪化しました。
▼日本郵船 2009年3月期 有価証券報告書
▼商船三井 2009年3月期 有価証券報告書
▼川崎汽船 2009年3月期 決算説明会資料
最後に、国際原油価格の推移について。下記のグラフをみてください。2001年からずっと右肩上がりに高騰し続け、リーマンショックによって一時的に下がるもまた高騰し、2015年前後で下がりはしますが以前の水準には戻らず、高止まりしています。この原油価格変動は海運事業にとっては大きなリスクです。この燃料価格の高騰は言うまでもなく、コストを圧迫し業績に影響を及ぼすからです。例えば、商船三井によれば「燃料油価格がトン当たり1ドル上昇した場合、当社が負担する影響額は、2019年度で持分法適用会社を含めて年間最大約1.9億円と試算しています。」※としています。この原油価格の高騰を受けた2008年頃から、各社は低速運転による省エネ運航を採用していきます。
※株式会社商船三井 IR情報より
▼国際原油価格の推移
コンテナ船事業においては、約2万個のコンテナを積載できる超大型コンテナで、積載率をなるべくフルにまで上げ、燃料消費を抑えながら低速で運航するのがもっとも経済的であるために、規模の経済が非常にワークするビジネスモデルといえます。
にもかかわらず、2000年代に迎えた海運バブル時のコンテナ船新規発注による数の増加。コンテナ船の超大型化。そしてリーマンショック以降の荷動き減少。コンテナ船事業は船舶供給過剰に追い込まれました。ただでさえ黒字化させるのが難しいコンテナ船事業が供給過多になったら・・・?
このような状況で進んだのが海運業界のアライアンスです。定期船コンテナ船各社による戦略的協定のことで、コンテナの共同運航等によりコスト削減、効率化が目的です。邦船三社も例外ではなく、川崎汽船がCKYH - the Green Alliance、商船三井と日本郵船はG6アライアンスに所属していました。当時は三社同じアライアンスではなかったようですが、2016年世界的な統合や合併が繰り返される中危機感を覚えたのでしょうか、2017年アライアンス再編により、日本郵船、商船三井、川崎汽船と、Hapag-Lloyd(ドイツ)、陽明海運(台湾)でTHE Alliance(ザ・アライアンス)を結成しました。同じ2017年、邦船三社のコンテナ船事業の統合が発表され、2018年4月からONEが誕生したのです。
※上記、参照サイトは全て2022/6/7閲覧時のものです。
各船会社のトラッキングは、各船社サイトでも確認いただけますが、コンテナのスケジュールがかわっていないかどうかを都度確認しにいくのは、時間がかかります。また、ETAのスケジュール変更があったかどうかを、他の関係部署の方に聞かれる場合もあります。複数の船会社を利用している場合はさらに管理が複雑です。
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