COSCOの紹介とコンテナ追跡方法

2023/08/25
Ayana

Ayana代表取締役CEO

神戸大学文学部を卒業後、楽天株式会社に入社。ECの基礎を学ぶ。その後、外資系メーカーに転職しメーカー側の課題に直面する。夜間MBAにて経営戦略を学ぶと同時に、FMCGよりもラグジュアリーブランドにおけるマーケティングに興味をもち、フランスESSECに留学。帰国後、外資系化粧品メーカーのECマネージャーやスタートアップCMO等を経て、MonCargoを創業。

COSCOとは?

COSCO SHIPPING LINES CO., LTD.(中国海洋运输集团公司)は、コンテナ船腹量ランキングで現在世界第4位※を誇る、中国の国有船会社です。

※アルファライナー調べ

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Alphaliner|Alphaliner TOP 100 2023/8/25 閲覧時点

中国遠洋海運集団(China COSCO Shipping Corporation Limited)は、中国大手国有海運2社のCOSCOと中国海運の2社が合併し、2016年2月に正式に開業しました。この合併の背景には2000年代の中国経済の成長があります。

中国経済の発展と輸出・貿易

1949年の中華人民共和国成立後、新政府は、国内インフラと経済発展を掲げましたが、当初の中国には船舶はまだ20万トン程度しかありませんでした。外航運輸については、1960年代にはいってから重要な施策として位置づけられ、1961年に、中国の自国商船隊を統括し、China Ocean Shipping Cooperation、通称COSCOが設立されました。しかしそれでもまだ「1972年までは対外海上貿易量の80%以上が外国用船によって輸送される」(松本、1986年)という状況だったようです。

1970年代になり中国の国内政治に変化が訪れます。1976年、毛沢東が死去し、1977年、鄧小平政権が成立すると、翌年の1978年、中国共産党は「近代化された社会主義」を目指す新憲法の採択を発表。中国経済発展が本格的に推進され、同じく1978年末、鄧小平政権により、対外貿易の拡大、対外開放の経済特区の設置などが打ち出されました。インフラ整備、国内外の企業誘致などによる外国資本の参入など、経済特区をはじめ中国経済が急速に発展していきます。

▼主要国の世界輸出に占める割合

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出典:経済産業省の資料より筆者作成

2000年代に入ると、中国からの輸出増大により、中国発のコンテナ貨物は急増しました。下記のグラフにあるように、中国は2000年代のわずか15年間で最大貿易国のアメリカを抜き、世界一の貿易大国になりました。

さらに2013年には、習近平により一帯一路構想が提案されました。一帯(Belt)は陸路、一路(Road)は海上航路を指します。一帯一路酵素は、中国の経済発展を目指し、ヨーロッパとアジアを陸・海でつなぐ貿易ルートを確保する目的で掲げられました。古代の中国とヨーロッパをつないだ、紀元前から1500年以上続いたユーラシア大陸の交易路であるシルクロードにちなんで、新しいシルクロードとよぶこともあります。ちなみに、シルクロードという名前は中国の絹織物の貿易に由来しています。

この一帯一路構想を地図に表すと下記のようになります。

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出典:AsiaSociety

この一帯一路構想において、海運は非常に重要な役割を果たします。この構想以降、中国は主要な港には大きな投資をして使用権を獲得しました。

  • 2015年 パキスタン - グワダール港 40年間のリース契約
  • 2015年 オーストラリア - ダーウィン港 99年リース契約(見直し中)
  • 2016年 ギリシャ - ピレウス港 COSCOが株式51%を取得
  • 2017年 スリランカ - ハンバントタ港 99年間の使用権
  • 2022年 ドイツ - ハンブルク港 最大ターミナルの港湾権益24.9%を取得

そのほか、ミャンマー - キャウクピュ港の使用権やトルコ・クンポート港の港湾施設会社の買収など、世界の主要な港が中国に対し、使用権または港の株式を渡しています。コンテナターミナルだけではなく、中国はスエズ運河へ向かう国際海運の要衝であるジブチには軍事基地も設立しています。

また、ギリシャ ピレウス港については、2009年に35年間の使用権を獲得後、2016年にはピレウス港の株式51%を取得、2019年には6億ユーロの投資をしてヨーロッパ最大規模の商業港へと導くため開発を進めています。

巨額の投資を港にする中国。民間用には必要以上のスペックであることから緊急時の軍事利用として使うdual use方式を採用されているなどと指摘する声や、政治的な抵抗を示す声もあるようです。

さて、コンテナに話を戻しましょう。

このような一帯一路構想のなか、COSCOと中国海運2社の合併が決定し世界トップクラスの海運業者が誕生しました。国際的な競争激化と供給過多が深刻な問題となっていたコンテナ船事業にとっては、コスト削減と効率化が特に求められていたことも背景にあります。(当時のコンテナ業界について詳しくはこちらのブログでも解説していますのでもしよければご一読ください。)

2社の合併により、コンテナ輸送やタンカー輸送、港湾運営など、部門ごとに再編がされるなか、コンテナ船部門においては、2016年11月、コンテナ船社Cosco Container Lines Co., Ltd.(Coscon)が、社名を「Cosco Shipping Lines Co., Ltd.」に変更しました。それが現在のCosco Shipping Linesです。

COSCOは、一帯一路イニシアチブを代表する中国の経済戦略において、非常に重要な役割を担っています。多くの国際的な港や物流施設へ積極的に投資を行い、中国における国際経済発展を支えているといえるでしょう。

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画像出典:Wikipedia

出典:
China's Belt and Road Initiative: Examining Its Economic and Military Implications | Asia Society
Daily Cargo電子版|2016/12/8
JBpress 2022/4/12
NHK就活応援ニュースゼミ 2022/8/30
Reuter 2018/1/3
Reuters 2019/11/12
Reuters 2022/10/26
産経新聞 2018/1/11
産経新聞 2019/1/1
『世界史の窓』改革開放/改革・開放政策
日本海事新聞 電子版|2016/2/19
日本経済新聞 2015/9/18
松本勇「転換期を迎えた中国海運と長崎港の対応―1961~1985年における中国商船隊発展の推移を中心として ―」『調査と研究』第17巻第1号, 長崎県立大学国際文化経済研究所、1986年、 pp.11-63。 URI: http://hdl.handle.net/10561/1382
水島諒大 「一帯一路 ―One Belt, One Road―」国土交通省港湾局産業港湾課国際企画室

COSCO 輸送コンテナ 追跡・トレース方法

COSCO SHIPPING Linesは、サイト内で、コンテナ番号、船荷証券番号もしくは予約番号から検索することが可能です。

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